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 「仲間、家族、先生、そして今まで支えてくれた人たちへの、ありがとうの気持ちを白球に込め、真剣味あふれる全力疾走、全力プレーで日本中を熱くすることを誓います」。これは、第88回全国高校野球選手権大会の開会式で、三重高校の中村浩樹主将が宣誓した言葉だ。全国を代表し、一番伝えたかったのは、「ありがとうの気持ち」だと言う。これを聞いた時、私は本当に感動した。“ありがとう”という言葉は、恥ずかしくてなかなか口にできない。ましてや、気のおけない仲間や家族には、なおさら言いだせなかったりする。そんな言葉を、堂々と全国に届けたのだ。

 私は野球が大好きだ。いつから好きになったのかは分からない。小さい頃から、いつもどこかで野球と関わっている環境で育ったからだ。まさに“バカ”がつくほどの野球好き。そのお陰で今までたくさんの出会いをしてきた。カンスポに出会ったのもそうだ。そして、もちろん人との出会いも。老若男女から愛されるスポーツであるが故に、球場では年令、性別など関係なしに、人と接することができるのだ。私は、その1つ1つの出会いをとても大切に思っている。様々な出会いが、1人では知りえなかったことを教えてくれ、いつも私を成長させてくれるからだ。

 ある日、球場にいた私は、1人のプロ野球選手のお父さんに出会った。その選手は私と同い年。つまり、私とはまさに親子ほどの歳の差があるのに、なぜかふいに話し掛けてきてくださったのだ。今考えると、息子と同い年の子供だったからこそ話し掛けてきてくださったのかもしれない。話をしている間、お父さんはしきりに「息子には感謝している」とおっしゃっていた。「2回も(高校野球で)甲子園に連れて行ってもらったし、今こうやって球場にも来ることができる」。そう嬉しそうに話すお父さんの顔を見ていると、すごく温かい気持ちになった。

 どこの家でも、子供の活躍をずっと見続けているのは家族なのだ。その選手は、そんな家族のことを「心の支え」だと言う。お互いに、いつも感謝の気持ちを持ち合っているのだ。1人ではない、支えてくれる人がいる、ということは、すごく大きな力になる。その気持ちに答えようと、さらに頑張り、一回り成長することができる。そんな不思議な力を持つ「ありがとうの気持ち」を私もいつも持ち続けていたいと思う。そして、たまには恥ずかしがらずに、素直に“ありがとう”と言ってみよう。【福中香菜】


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