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 73年ぶりの3連覇を目指した駒大苫小牧に、偉大な先輩方が成しえなかった悲願の優勝を目指した早稲田実業。そして、ハンカチ王子・佑ちゃん。俗に言う、甲子園マニアである私も、いささか驚きを隠せなかった今年の高校野球フィーバー。

 みなさんは、駒大苫小牧の選手が四球あるいは、死球で塁に出る時に気づいたことはあるだろうか??それは初優勝の時からずっと変わらない。

 私は高校時代、聖歌隊に所属していた。カトリックの学校である私の高校では、聖歌隊は特別な存在だった。“聖歌隊”と言っても、私たちの主な活動は聖歌を歌うことではなく、ハンドベルを演奏することだった。事実、聖歌隊として聖歌を歌ったのは、片手で数えられるほどの回数である。聖歌隊の活躍は目覚しく、県からの要請で演奏することもしばしば。聖歌隊は私にとって誇りだった。

 プラネタリウムでの演奏を控えたある日、事件は起こった。G3と呼ばれるベルが壊れたのだ。私たちの学年は20人で、約100個のベルを使用する。演奏時には、もう1つの学年と計200個のベルで演奏することになっている。つまり、ベルのセットは2セットあると言うことだ。しかし、言い換えれば2セットしかない。代えは利かない。G3が壊れたのが分かった時、先生は私たちを集めてベルを鳴らした。「グァン!!」一瞬、皆蒼然となった。ショックだった。“天使の歌声”と呼ばれるハンドベル。壊れたG3からは、さっきまで美しい音色を出していたとは到底思えないような音がした。先生は、“悪魔の声”と言った。その通りだと思った。ハンドベルはとても繊細な楽器で、ベル同士をぶつけるだけでも大きなダメージとなる。1個数十万円するハンドベル。私たちはそれまでも十二分に気をつけて扱ってきたつもりだった。しかし、私たちは改めて気づかされたのだ。ベルが1個足りないだけでも、私たちの曲は未完成。ベルあってこその私たちなんだと。

 駒大苫小牧の選手たちは皆、四球あるいは死球で塁に出る時、バットを地面にそっと置く。大抵の選手は、放りなげるのが普通だ。中には、勝負してもらえなかった時、死球を受けてイラっとした時などは地面に叩きつける選手もいる。駒大苫小牧の選手のこの行いを見た時、私はベルのことを思いだした。野球だってベルと同じ。バットやグローブがなければできない。ヒット打たせてくれるバットを、ボールを捕ってくれるグローブを大切にしよう……。駒大苫小牧からは、そういう思いが伝わってきた。惜しくも3連覇はならなかったが、今年も決勝戦まで駒を進めた駒大苫小牧。強さの裏には、道具を大切にする心も繁栄されていると感じた。お世話になっている道具に感謝し、一心同体になってこそ、強さは生まれるのだ。【山本真由美】


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